一ノ瀬に向けて、翔太とフロゥ - 木洩れ陽のノスタルジーカより抜粋

「・・・・・・今のお前は、自分の持っている嫌悪感にただ科学的に反応するだけの、単細胞生物でしかない。そんなお前がフロゥやしねまの人間性を否定する資格なんかあるわけがない!!」

「お前はその『機械が嫌い』っていう自分の感情について、一体なにが原因なのか、なんの所為でそれほどまでに自分が機械を嫌いになったのか……一度だって考えたことがあんのか!?お前が逆の立場になって、理由もなく嫌われたりとか想像したことがあんのかよ!?」

「漠然として気持ちで条件反射に『機械が嫌い』つってるお前なんかより、なんで自分が機械なのかを純粋に悩んでるフロゥの方が、お前よりよっぽど、全然っ!人間臭いって、そう云ってんだよ!莫迦か!」

「私に対してなにを云うおうと、それは構わないよ一ノ瀬。社会病理の観点から『機械嫌い』は認知されている。二年戦争の負の遺産であり、私たちメトセラの汚点でもあるのだから」

「だが、そこに甘えない方が良い。お前が『機械嫌い』であることと、お前個人の評判とは、全く関係がないということを忘れるな……『機械嫌い』が嵩じてお前が人から嫌われても、社会はお前を守ってはくれないのだから」

「まだ気づかないのか。今の翔太を見ても気づかなかったのか?翔太だけではない。クラスのみなが、翔太のようにお前の『発作』を我慢しているんだ……このままでは、お前は本当に相手にされなくなってしまう」

「お前は、お前自身の為に……翔太が云ったように、『自分の怒りの正体』と向き合う必要があるのかも知れない。『怒り』というのは周囲の警戒を招く行為だ。そろそろ考えるべき時に来ているのではないだろうか――行こう」


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