フロゥ - 木洩れ陽のノスタルジーカ †
「翔太は、やっぱり不思議だ」
「他の人間にされたら気分を害しそうなのに、お前に掛かると、そんな行為も不思議と許せるものになってしまう――なぜなんだろうな」
「……その後、改めて私は好感度パラメーラの蓄積をログで辿ったが、実はずっと昔からそのバグは存在していたんだ」
「他の人間よりも、好感度の上昇が早かった存在……それが翔太、お前だ」
「他の人間ではカウントしないような微細な行動を、なぜか翔太が対象の時に限って……私はカウントに含めていた。そこに、私自身が全く気が付いていなかったのだ」
「結論として……翔太、私はお前のことが『好き』なのだ」
一姫 - 木洩れ陽のノスタルジーカ †
「その……これを読んで、ちょっと翔太を…その、誘惑してみようかな……って、思ったののよね……」
「つまりね。そのノートに書かれているのは人工知能のアルゴリズム……五感情報の読み取りから解析、その結果と反応に関することが書かれているの。もっと簡単にいうなら、目の前で起こったことに対する分析手法と、それによって生まれる人間的な反応ってこと」
『ひとつの行為が引き起こす可能性。その結果には際限がなく、破綻のない推論は存在しない』
『ならば、銀河に眠る星の数を数えることをやめなければ。恒河の砂と較べることは愚かなことだ』
「ならば、銀河に眠る星の数を数えることをやめなければ……ってね。そう思って、一歩踏み出してみることにした」